常春月刊:ニガウリペプチドは本当に糖を制御できるのか

文/徐文媛

糖代謝をコントロールできると称するニガウリペプチドが、多くの糖尿病患者の注目を集めています。ただし血糖値の安定を助けるという科学的証拠と証明はなされているのでしょうか。市場における製品は玉石混交です。どのように選ぶべきなのでしょうか?

統計によると、台湾で糖尿病と診断されている患者数は200万人、毎年約3万人の幅で継続して増加しています。うち90%を超える第2型糖尿病はますます低年齢化の傾向にあります。加工度の高い飲食、活動量の少ない現代的な生活形態により、肥満の問題は全世界の公共衛生に対する重大なチャレンジとなっているのです。台湾の国民健康署の調査によると、台湾の成人の体重過多及び肥満の罹患率は45.4%に上ります。肥満はまさに第2型糖尿病の重要な危険因子なのです。

現在糖尿病には根本的な治癒方法はありません。薬で症状を抑える以外、積極的に飲食をコントロールして運動とダイエットを組み合わせる必要があります。しかしながら多くの患者が継続できず、さらには積極的に血糖のコントロールを放棄してしまいます。一旦そうなり時間が経過してしまうと厳重な合併症が生み出されてしまうのです。

近年では、天然療法を求めて糖代謝のコントロールを手助けすることがすでにトレンドとなっています。糖尿病の主な病気の原因となるターゲットはインスリン受容体でることから、各業界がインスリン受容体に作用する、インスリンに代わる天然物を探し求めています。ただし生理的なメカニズムは複雑であり実現は困難となっています。多くの植物由来のインスリンの類似物質と称する製品は科学的実証を経ていないため、消費者はどのように選べばいいのかわからなくなってしまっています。

このため台湾の業者と医科大学が提携し、10年の研究を経て、ついにニガウリから人体のインスリン受容体に高い親和性を備える活性成分「mclRBPTM-19」を発見しました。2013年より国際学術誌にて4編の論文が順次発表されました。それぞれ細胞、動物及び人体での臨床試験による効能の検査が行われています。

血液中のブドウ糖を細胞内に送り届けるためには、人体のブドウ糖の運搬メカニズムを起動させる必要があります。さもなくば高血糖へと変化してしまうからです。バイオサイエンスの専門家である徐榜奎博士によると、ニガウリから抽出されたmclRBPTM-19はインスリンのほか、現在科学的に証明されているインスリン受容体と結合できる天然物であり、血糖の安定を維持できると述べています。さらに一歩進んだ効果の確認のため、糖尿病の慢性疾患治療薬の処方箋を受けているが薬物治療の効果が理想的でない142名の血糖値が120~140 mg/dLの患者を選び、もともと使用している薬剤の使用状況を変化させない状況下において、3か月後に血液検査を実施しました。mclRBPTM-19を併用している試験対象グループは空腹時の血糖が低下しただけでなく、糖化ヘモグロビンにも明らかな改善が見られました。糖化ヘモグロビンは赤血球の生存期間内(平均3か月)の平均的な血糖濃度を反映できます。徐榜奎博士は「通常時に飲食のコントロールを注意していない患者は、診療の際には血糖値が低くなっている可能性がありますが、糖化ヘモグロビンは高めとなります。これはここ3か月間の血糖のコントロールが不安定であることを示します。」と述べ、糖化ヘモグロビンが高めの場合、適度な運動または保健対策の介入による手助けを考慮する必要があると強調しています。

上述の研究結果のレポートはすでに2020年に国際ジャーナル《Nutrients》に掲載されています。このほか中山医学大学との提携により、血糖値が160~180 mg/dLの患者にて二重盲検比較試験を実施しました。この試験にてmclRBPTM-19が血糖値の指標を改善する手助けとなることが実証されており、研究レポートも近日正式に発表される予定となっています。

 

慎重に科学的実証を具えた特許取得の成分を選択する

多くの研究レポートが次々と発表されたことにより、ニガウリペプチドは次第に注目を集めるようになりました。しかしながら、徐榜奎博士はmclRBPTM-19はニガウリの中の極めて貴重な成分であり、特定の製造工程を必要とし、また優れた生産管理によってはじめて最良の効果が得られると述べています。また研究チームによる分析では、市場での多くのニガウリペプチドを自称している製品が当該成分を含んでおらず、ただの単純なニガウリの加水分解物またはニガウリ抽出物であることが発見されています。効果が芳しくないことで消費者の利益が損害を受けてしまいかねません。このため購入時には特に注意が必要です。

徐榜奎博士は糖尿病患者の方々は医師による薬剤の使用の遵守を前提に、さらにサプリメントを組み合わせて血糖を改善する必要があるのかどうかを再評価するよう呼びかけています。カギを握るのは研究で実証され、肯定されている活性化成分を備える製品の慎重な選択であり、はじめて本当の効果を発揮できるのです。

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